奇巌城 南洋一郎

奇巌城
昭和33年5月

アルセーヌ・ルパンの人気が日本で定着したのは、この子供向け全集によるところが大きいというのが一般的で、実際初めてルパンの小説を読んだのはこのシリーズの「魔女とルパン」。小学2年生の読書力でも十分に読めたどころか、とにかく面白くて夢中になったのが忘れられない。そのあとに読んだ「813」は本当に衝撃的だった。他に読んだのは「ルパンの名探偵」「緑の目の少女」。どれも面白かったんだけどシリーズ全巻を読もうとまでは考えなかった。

それが50を越えた大人になってから、全集で1巻から読んでみようと思うに至ったのはなにゆえか?息子が小学生のうちにぜひ読ませたくて全巻まとめて購入。でも予想通りというか、なかなか思うように読んでくれなくて。。。せっかく買ったんだから自分で読んでみるかってことに。

子供向けの本だけど大人が読んでも十分面白いし、1冊読むのに1日あれば十分だから自分の子供だけじゃなくいろんな人絶対おススメ( ^ω^)・・・なんだけど。

そしてこの奇巌城。偕成社の全集で3回くらい読んでるから、大筋は分かってるのでさすがに子供の頃のように夢中になるまでは行かないものの、ルパンのシリーズではトップクラスの人気作だけあって十分な面白さ。これを小学生の頃にいきなり読んでたらどんなだったんだろう、なんて想像してしまった。

ルパンが泥棒する動機はあくまで貧しい人のため、という改変はあるものの大まかには原作通り。ルパンの恋愛からラストの悲劇までそのまんま。暗号解析も原作に忠実だけど、ここは子供にはちょっと難しいかも。
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真夜中から7時まで

真夜中から7時まで-s

原題:DE MINUIT À SEPT HEURES
初出:1931年10月~12月「ル・ジュルナル」紙連載 
単行本化:1933年

【ストーリー】
美貌の令嬢ネリー=ローズは、慈善事業宝くじの宣伝のため、「五百万フランを提供した人に望まれるものを全て提供する」と自分の写真入りで大々的に発表。悪徳商売で莫大なもうけを得ているロシア人商人バラトフと、革命後のロシアに潜入してひと稼ぎしていた冒険児ジェラールは、これを見てお互いに彼女を手に入れようと野心を抱く。
バラトフは五百万フランを寄付し、ネリーのもとへ「真夜中から七時まで、私を迎え入れよ」と要求。ジェラールはネリーの美貌に惚れこんで、バラトフの企みを邪魔するため彼女への接近を図る。バラトフといつわってネリーとパーティーに参加するジェラールて、まんまとネリーを連れ出すことに成功するが、バラトフはホテルの自室で殺害されていた。…
殺人犯はジェラールなのか?ルパンを思わせる快男児ジェラールが恋と冒険に大活躍する恋愛活劇。


【作品について】
アルセーヌ・ルパンはまったく出てこないルブランの作品の中で、翻訳の単行本が発売された形跡がみられない珍しい作品。貴重な作品といえなくもないけど、「バール・イ・ヴァ荘」と「二つの微笑をもつ女」の間に書かれただけあって内容はミステリーというより恋愛小説に近い。殺人が行われて、主人公が犯人と疑われる展開は確かにミステリーなんだけど、それにしてはラストのオチが謎解きというにはあまりにおそまつすぎ。 

せめてタイトルかられんそうするように、時間にそって展開していれば、もうちょっと盛り上がったような気がする。タイトルが表しているのは、単にヒロインが約束した自分を拘束できる時間で、朝7時までになにが起こったか?というのも特に重要な意味はないし。

ルパンは出てこないといいながら、物語の終盤に出てくるに〝ビクトール警部〟というのが、こじつけで〝ルパン〟といえなくもない。「四十がらみのずんぐりした男・・」という描写があって、作品の時代的にも「特捜班ビクトール」でルパンが化けていたビクトールと近いので。でも、まったくの脇役でなんの活躍もしないし「やっぱり無理があるかも。


真夜中から七時まで (アルセーヌ・ルパン全集 (別巻 4))真夜中から七時まで (アルセーヌ・ルパン全集 (別巻 4))
(1987/03)
モーリス ルブラン

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赤い輪

赤い輪-s

原題:LE CERCLE ROUGE
初出:1916年11~1917年1月「ル・ジュルナル」誌連載 
単行本化:1922年

【ストーリー】
 手の甲に「赤い輪」が浮かびあがると、性格が変わり犯罪を犯すようになるジム。彼は息子のボブを殺し自分も自殺して、呪われた血を絶やしてしまう。ところがその直後に手の甲に「赤い輪」を浮かび上がらせ顔を隠した謎の女による強盗事件が発生する。警察とともに事件を捜査する法医学者のレイマーは、逃走中に車窓にかかった女性の手に〝赤い輪〟を見つける。慈善事業に熱心な美しき令嬢フロレンスが「赤い輪の女」ではないかと疑い、レイマーは苦悩する。そして「赤い輪の女」はさらに次々と事件を引き起こしてゆくのだった。

【解説】
モーリスルブランのオリジナル小説ではなくて、1915年にアメリカで公開された映画「The Red Cicle」のノベライゼーション(小説化)。20分程度の短編を14回に分けて上映した連続活劇。日本でも公開されてかなりの評判となったらしいが、フィルムは失われてしまったために、今ではこの作品を見ることは出来ない。
原作はアルバート・ターヒューンという人。映画と小説はまったく同じだったという証言があるため、もしかしたらルブランのペンネームなのでは?とも考えられるが、今となっては確認しようもない。「慈善家であり盗賊」という女主人公の設定など、アルセーヌ・ルパンの設定に似ているし、〝赤い輪〟が浮き出ると正確が豹変するとぴうSF風の設定以外、全体のテイストは後期のルパン作品に近い。

【コメント】
20年以上前にくらい前に文庫本で一度読んでるんだけど、まったく内容が記憶に残ってなかった ( ̄ω ̄;)
「オルヌカン城の謎」と「金三角」の間くらいの時期の作品なので、けっこう期待したわりにはそれほどでもなかったかも。
連続活劇が原作で、それぞれの章ごとに起承転結があると思ったら、そうでもないような。最初に犯人が分かっちゃうのでミステリーでもないし、最後はこの二人が結ばれるんだろうな・・・とか、この人は決して汚れた血筋じゃないんだろうな、みたいな先入観がよくないのかも。設定的にSFというにはちょっと半端だし。登場人物がやたら多くて、話がややこしいかったりするけど、それでも最後にはちゃんと全てが収まってくれます。


     
 

三つの眼

三つの眼-s

著:モーリス・ルブラン
訳:長島良三
偕成社:1987年3月初版、297ページ

原題:LES TROIS YEUX
初出:1919年7~10月「ジュ・セ・トゥ」誌連載 
単行本化:1920年

【ストーリー】
第一次大戦が終わった直後の時代。発明家ドルジュルーは、部屋の壁に〝三つの眼〟のようなものが現れあらわれる現象を発見。それを甥のビクトリアンに紹介する。スクリーンに謎の光線を当てると、映画などが発明る以前に起こった事件の〝記録映像〟が映し出されるのだった!
この映像を劇場で一般人に公開してひと儲けしようと考えたドルジュルーだったが、「B光線…ベルジ…」というメッセージを残して何者かに殺害されてしまう。事件の直後、ドルジュルーに育てられた美少女ベランジェールは謎の片眼鏡男と不可解な行動を始めたため、彼女を愛しているビクトリアンは苦悩する。さらにベランジェールの父マシニャックがドルジュルーの発明を独占して〝三つの目〟の上映興行を開始。〝三つの眼〟の。正体をめぐって様々な解釈が行われるなか、ベランジェールが行方不明となってしまう。事件はび

【解説】
アルセーヌ・ルパン作品の発表の場であった「ジュ・セ・トゥ」誌上に連載した、ルパンシリーズとは全く無関係のSF小説。いきなりSF作品を手がけたのには、当時話題になっていたコナン・ドイルの「失われた世界」(1912年)や、ルブランと同年代に活躍した〝SFの父〟H=G=ウェルズ(1866-1946)の影響があったと思われる。この前に書かれた「三十棺桶島」でも科学的なネタが扱われていた。
かなり文明の進んだ金星人が地球へのコンタクトを求めて光線を発信しているという設定で、金星人の姿はタイトルにもなっている〝三つの眼〟を持ち、三つの触手をもつクラゲ状みたいな生物として描かれている。この金星人は地球に対してかなり友好的。ファーストコンタクトものとして「2001年宇宙の旅」よりはるかに以前に書かれたパイオニア的な作品というのは、拡大解釈しすぎ ?( ̄ω ̄;)??

【コメント】
ずいぶん前にも一度読んだことがあって、そのときの記憶はまったくないのでほとんどまっさらの読み直し。〝時期的にはルブランの絶頂期に書かれた作品なので、期待して読んだほどには面白くなかったというか・・・
途中、やたらと科学的に〝三つの眼〟に対して謎解きをするシーンなんかがあって、SFというよりはどうしてもミステリー作家の作品っぽい感じ。発明家殺しの犯人探しみたいなのがあるから、余計中途半端に感じてしまったりして。もうちょっと好意的に、好意的な異性人との接近遭遇を描いた、斬新な作品として読むべきだったのかも。
ところで、ヒロインの父親は絶対に悪党じゃない〟という後半のオチは、ルブラン作品のお約束。



    

 

戯曲アルセーヌ・ルパン

戯曲アルセーヌ・ルパン (論創海外ミステリ)戯曲アルセーヌ・ルパン (論創海外ミステリ)
(2006/12)
フランシス・ド クロワッセ、Maurice Leblanc 他

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日本で始めての完訳となる「戯曲アルセーヌ・ルパン」、そのお蔵入りバージョンでこれまで一度も公演されていない「アルセーヌ・ルパンの帰還」、1998年に初めて発掘、刊行された幻の戯曲の初邦訳「アルセーヌ・ルパンの冒険」と、 ルパン物の戯曲三本を世界で初めて一冊にまとめたもの。さらに改訂版との違いや他に詳細な作品年表も収録されて、資料としては申し分のない一冊。

この本が出るまで、「ルパンの冒険」がルブランの執筆じゃないって知らなかった。いろんな翻訳がでていて、どれもモーリス・ルブラン作となっているし、解説にもしっかりルブランが戯曲を小説化したって書かれていたりするので、そう信じるのも無理ないしかなかったわけで、しかも、小説版の存在は最近まで本家フランスでは知られていなかったとか。そんなマニアックなネタが詳細に書かれている。

最初は舞台化の台本だし、買おうかどうかすら迷った本だけど、内容を考えたら全然損はないどころか、むしろ非常にお買い得みたいな感じ。内容は小説版とほとんど一緒。舞台は記録的な大ヒットだったというだけあって、すでに小説版を読んでネタバレしていても、ストーリーだけで普通に楽しめる作品だった。

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