七つの秘密 南洋一郎

「ルパンの告白」からの話を中心に7つの短編を収録。最初に1959年に出版されたときは、「バーネット探偵社」の短編の2話とアメリカ版「ルパンの告白」に入っていた短編「山羊皮服を着た男」が収録されていた。このときはタイトルもすべて「~の秘密」。それが1971年に改訂されたとき、もともと全15巻で完結したときは入っていなかった「バーネット探偵社」も「ルパンの名探偵」として出版されることになり、「バーネット探偵社」の短編2話をそちらに移動。「ピラミッドの秘密」のプロローグだった「地獄のわな」と「さまよう死神」を代わりに収録というややこしい構成になっている。


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怪盗対名探偵 南洋一郎

09怪盗対名探偵

原作は「ルパン対ホームズ」で基本的には原作通り。「金髪美人」のラストでルパンが気球で逃げるところは、隠しドアを通って裏道から逃げるように変更。派手に気球で逃げた方が子供向けっぽい気がするけど、このシリーズ全般的な傾向として、原作に出てくる小道具やセットなんかの派手な部分は抑えられてるみたい。「ユダヤランプの秘密」の不倫話しは当然控えめに変更。大人になってから読むとなんだか不自然な気がしないでもない。

この本は原作を先に読んだせいか、ルパンとホームズのお互いが意地をはりあったやりとりとか、明らかに原作の方が面白いと思う。というか、この南洋一郎のシリーズをここまで読んできて思ったのは、子供の頃に読んだ数冊はどれも強烈な印象だったのに、大人になって読み直してみるとどれも原作の方が上に感じてしまう。とくにこの作品のルパンとホームズのやり取りは、原作だとすごくワクワクしたのに、この南版だとあっさりしてるように感じてしまった。子供が読んでこそ面白いように書かれてるから?というか実際そうなんだろうけど。

蛇足だけど、小学生のころに他の児童版の「ルパン対ホームズ」を読んだことがあって、「ユダヤランプの秘密」が省かれて、「金髪美人」だけで1冊になっていた。そのときのラストのイメージはかなり強かったので、このポプラ社版でも「金髪美人」で終わらせた方が良かったんじゃないかって気がする。

青い目の少女 南洋一郎

08青い目の少女


子供の頃に読んだ数少ない児童向けルパンの1冊。その頃の感想は、話しが入り組んでてなんだかよくわからず、後半の謎解きでなるほどなーって感心したくらい。緑の目の少女がヒロインで、青い目の少女は出てきてすぐに殺されてしまうのに、なんでタイトルは「青い目の少女」になっているのかは今だに謎。読み終わって、なかなか面白いと思ったことだけは確か。

あらためて何十年ぶりかで読み直したけど、話しの展開が早すぎてやっぱり分かりにくい。ヒロインが捕まったと思ったらすぐに逃げ出すっていうのが何度もあったり、悪役が中途半端で全然印象に残らないので、どっちがどっちだか分からなくなったり。よく子供の頃に最後まで読めたなってちょっと感心。

この小説はミステリーでもあるけど、どちらかと言えば追いつ追われつの冒険活劇。だからルパンシリーズの中で出来がよい方とはいい難いこの作品が、子供の頃にはけっこう楽しめたんだと思う。ところで「ルパン三世カリオストロの城」のほとんど元ネタになった湖底の遺跡ってアイデアはどこから出てきたのかな?ルブランのオリジナルだとしたら大したものだけど。

怪奇な家 南洋一郎

07怪奇な家


原作がそんなに面白い出来じゃない方なので、さすがにちょっと苦しいんだけど、それを力技で盛り上げてしまっている感じ。一番肝心なトリックもそれほど意外なものじゃないのに、とても奇抜なトリックみたいな書き方してるから、そうなのかなって思ってしまったり。南洋一郎版はどの作品もそんな感じ。子供の頃に読んだときはそんなに気にならなかったけど、大人になってからだとさすがにちょっと恥ずかしいというか。

原作の時系列だと「バーネット探偵社」のあとにあたり、本文中にもベシュウ部長刑事がデヌリ(ルパン)を「いんちき探偵のバーネットだ」と指摘してたりする。ただ、このシリーズが最初に刊行されたときは、「バーネット探偵社」は未収録だからちゃんと全巻順番に読んでたら違和感を感じてたのかもしれない。ただ、基本的にこの南版のシリーズは、どこから読んでもいいようにして出版されたみたいだから、そんなオリジナルの時系列は気にしてないんだろうけど。

なにしろ原作読んだときの犯人が誰だったか完全に覚えてないくらい印象が薄い作品。ところが原作にはないラストのオチをつけ足したことで、こっちのが原作よりも面白い終わり方になってる。こういったところはさすがというか。原作の多少まだるっこしい恋愛関係はバッサリ省略。正しいと思う。

黄金三角 南洋一郎

06黄金三角


原作は「金三角」で内容の変更もほとんどなく、ルパンはドン・ルイスの偽名で後半からの登場。原作が傑作の部類に入るだけあって普通に楽しめた。ただ、先に原作を読んだ後だと、どうしてもこじんまりしたダイジェストみたいな感じがしてしまう。子供向けにアレンジした小説を、大の大人になってから読んで子供のように胸をときめかせられるはずもないんだけど。

ページ数で比べると偕成社版は459ページ、こちらポプラ社の南版は262ページ。字数は偕成社版16行45字で南版15行45字。ほぼほぼ半分くらいの字数だと考えてよさそう。だとしたら盛りだくさんな内容の作品なので、多少はエピソードを削って簡略化したほうが分かりやすくなるんじゃないか・・・なんて思ったりした。

初めて読んだときは、黄金の隠し場所のトリックに関してはそれほど印象もなかった。でも今回読んでて、アニメの「ルパン三世」第1シリーズの中の、造幣局から盗んだ札束を平たく重ねて隠すトリックが、ここからアイデアを借用したんじゃないかって気がした。モーリス・ルブランという作家は本当にアイデア豊富だったんだなってつくづく感心する。

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