金三角

金三角 (アルセーヌ・ルパン全集 (10))金三角 (アルセーヌ・ルパン全集 (10))
(1981/01)
モーリス・ルブラン

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全作品を通してみると、アルセーヌ・ルパンは泥棒としてより冒険家として活躍する方がむしろ多くて、「金三角」はルパンが完全に正義の味方として登場する最初の作品。パトリス・ベルバル大尉とママン・コラリーのカップルが、謎の悪党に散々苦しめられ、そこにルパン登場して事件をまたたく間に解決して去っていくという話。正義のヒーローというものは、古今東西を問わずさんざんじらした末にやっと出てくるものだけど、物語の後半にさっそうと登場するルパンの活躍ぶりはまさにそんな感じ。

第一時世界大戦のさなかに書かれた作品なので、フランスの敵国だったドイツに対する憎しみが前作「オルヌカン城の謎」に続いてとてもにじみ出ている。当時フランスの国民的キャラクターだったであろうアルセーヌ・ルパンに、パトリス=フランスを苦しめる悪役(ドイツ)を叩きのめさせた作者の心情は、とても理解しやすいところ。「金三角」執筆時には戦争もぼちぼち終結にむかっていて、ルブランの心には余裕があったはずなのに、ここまでやるかってくらいドイツをこけおろしている。ところでルパン・シリーズはアメリカでも人気があったらしく、世界大戦の終わりごろフランスの味方として参戦したアメリカの兵隊たちは、ルブランの別荘に殺到してルパン新作のストーリーを聞きたがったとか。それじゃさすがに泥棒の話は書けないか・・・

世界大戦が舞台の背景になっているものの、作品そのものは本格ミステリーとしてよく出来ている。ただし「顔のない死体」のトリックは、「金三角」が書かれた時点で前例はあったはず。例えば「恐怖の谷」とか。ところで、タイトルとなった3億フランの金貨の隠し場所の解き明かし方はイマイチかも。全体を通してみると気になるところが多々あるものの、作者の円熟期だけあって、安心して楽しんで読める作品。




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じん太郎三度笠

単行本 1971年5月 

少年マガジンに連載の4年後に、短編集として集英社のJUMP COMICSからコミック化された作品。「ハレンチ学園」の成功に便乗して出版されたのは明らか。

初出

じん太郎三度笠 週刊少年マガジン1968年2/4~3/3号

「夕日の剣マン」「荒野の剣マン」「三匹の剣マン」に含まれる11の短編は、すべて1968年に「別冊少年マガジン」と「週刊少年マガジン」に掲載されたもの。


プレミア度
2010年2月にヤフオクで再購入。

バクラツ教室

「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)1974(S49)7/22 ~8/5号に短期連載。

学園の女王・江利座に支配される悪発学園。ナポレオンをおもわせる風貌のバクラツ番長が率いるボナパル党は、マドロス夕子、鉄腕ボトム、プリンセスタロー、地下鉄金太の五人という少数派。に立ち向かう学園活劇。

<収録作品>
バクラツ教室
女賭博師がゆく
ごうけつミカちゃん
じん太郎三度笠


プレミア度
状態がよければ「まんだらけ」や「ヤフオク」で3,000~5,000円くらい。ただし、そんなに人気がある作品じゃないので、けっこう売れないまま残っているのをよくみかける。

オルヌカン城の謎

オルヌカン城の謎 (ア「」ルセーヌ・ルパン全集 (9))オルヌカン城の謎 (アルセーヌ・ルパン全集 (9))
(1982/01)
モーリス=ルブラン

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新婚の妻エリザベートと共に、新居となる独仏国境に近いオルヌカン城にやって来たポール。彼は少年時代にこの地で父親を謎の女に殺された記憶があった。城に着いた二人はそこでエリザベートの亡き母の肖像画を目にするが、その顔はポールの父を殺害した女そっくりだった。混乱するポール・・・おりしも第一次世界が勃発、彼は大戦の戦場へと向かう。しかしその戦場でもポールの周囲にはエリザベート母そっくりの女の影…。

「金三角」「十棺桶島」と合わせて第一次世界大戦三部作とも呼べる第一作。冒険小説、あるいは戦争小説といった傾向が強いものの、ミステリーとしての坪はしっかり押えられていて、絶頂期のルブランらしい謎解きやユーモアもりだくさんの傑作。原題は「砲弾の破片」。これは作中に出てくる要素でもあり、ほんのわずかしか出てこない中で主人公に重要な秘密の手がかりを与えるアルセーヌ・ルパンの例えともいえ、こちらのタイトルのままでいいような気がするんだけど。「砲弾の破片」という題での邦訳は今のところなし。ちなみに最初に読んだのは児童版で、「ヘビのブローチ」というタイトルだった。

本作の主人公は青年仕官のポール・デルローズ。第一次世界大戦が始まった1914年の翌年に執筆されたせいもあって、若きフランス兵の成功(出世)物語になっている。アルセーヌ・ルパンはポールの回想の中でほんの数ページしか登場しない。とはいえルパンが主人公に重要な手がかりをあたえるシーンのかっこ良さは、シリーズ全作を通した中でも屈指の名シーン!ちょっぴりしかでないからこその存在感みたいなものがあって、とにかく大好き・・・・なわけだけど、実はこれ、最初に本作が執筆された1915年にはこのシーンはなくて、普及版が1923年に出版されたときの加筆なんだとか。どういう理由で追加されたか分からないけど、アルセーヌ・ルパンを出したことで作品の価値が飛躍的に高まったのだけは確か(本の売れ行きも含めて)。

戦争中に執筆されたせいか、作者の愛国心が最大限に発揮された作品でもあり、敵国ドイツ人がとてもみにくく扱われていて、戦争の行方が分からなかった当時のフランス人を勇気付ける目的があったのは明らか。そんな事情は今さらどうでもいいことだけど。この内容をそのまま使って映画にしたら、今の時代でも十分通用できるだけの娯楽作が出来そうな気がするけど、どうなんだろう。残念ながらルブラン原作の映像化(コミックも含めて)で、原作より面白く出来てるのは皆無のようなので、やっぱり難しいのかな。




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